右肩上がりの外食・朝食市場~今、朝食に求められるものとは

右肩上がりの外食・朝食市場~今、朝食に求められるものとは

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昨今、外食業界が堅調に推移するなかで、朝食市場が注目を集めています。外食・中食に関する各種の調査レポートを見ても、朝食機会の外食市場規模は1兆円近くになっています。ここでは外食業界の朝食市場に焦点を当て、朝食市場拡大の背景から、顧客が朝食に求めるものや朝食のトレンドなど、朝食市場をさまざまな角度から紹介します。

外食、朝食市場拡大の背景

外食業界における朝食市場拡大の背景を紹介しましょう。

伸びしろ

外食業界が朝食市場に注力する理由のひとつが朝食市場の「伸びしろ」です。朝はバタバタと慌ただしいということもあり、朝食は普段あまり食べないという人が多い時間帯です。厚労省の「平成28年度国民健康・栄養調査報告をみても、例えば30代で見ると、日常的に夕食をとらない人、いわゆる夕食欠食率は1.3%。同じく昼食欠食率が6.1%であるのに対し、朝食欠食率は22.8%ととびぬけて欠食率の多い時間帯であることが分かります。欠食率が高いということは、反対に今後の需要を取り込みやすい、すなわち「朝食市場には伸びしろがある」ということで、外食業界を引きつける一因になっています。

ライフスタイルの変化

ライフスタイルの変化も朝食市場が活気づく要因です。近年では働き方改革の推進による残業の減少や、プライベートを重視するライフスタイルの浸透などが合わさり、時間を大切にしよう、有意義に過ごそうという流れが、これまで朝食をとっていなかった人たちの変化を生んでいるといえるでしょう。

国産志向・健康志向から高単価が見込める

朝食といえば、「手軽に、安く」というイメージ、需要が多くありましたが、加えて最近では「安心できる食材で、体に良いものを」という需要が増えています。国産志向や健康志向の高まりが朝食市場に高単価の需要を生むことで、外食業界の注目を集めています。

朝食に求められるもの

朝食市場が広がりを見せるなかで、利用者は朝食に今なにを求めているのでしょうか?

手軽さと食べやすさ

朝食で重視されることのポイントとしては、「栄養バランス」より「調理時間の短さ・手軽さ」が最も多く、次に「食べやすさ」となっているようです。忙しい朝の時間に、手軽に手早く食べられることに加えて、準備や片付けを短時間で済ませることがポイントとして挙がっています。

健康志向、国産志向

一方で、日本政策金融公庫が2016年に調査した消費動向調査によれば、「食の志向」として経済性や簡便性を抑えて健康志向が最も共感を集める結果となっています。また、外食時や食料品購入時の価格調査では、輸入品と比べた場合、「割高でも国産品を選ぶ」という回答が60%を超え、健康志向に加えて国産志向の傾向がうかがえます。

朝食のトレンド

市場が拡大するなかで、朝食市場には新たなトレンドがいくつも生まれてきました。昨今注目を集める代表的なトレンドを紹介しましょう。

ホテルを朝食で選ぶ時代に

朝食はホテル選びの大きな基準になっています。例えば宿泊特化型のホテルでも、無料の朝食サービスの内容にこだわりを持つことで、他の競合ホテルとの差別化を図っているところがあります。また、地元食材にこだわったメニューや、できたての演出パフォーマンス、高級コーヒーなど、日本人だけでなく、インバウンドの利用者をも合わせてターゲットにするなど、ホテル業界では朝食が集客戦略の重要なポイントとして機能しています。

朝食メニューの時間帯拡大

朝食市場の新しい流れとして、朝食を朝以外も食べるという傾向が生まれました。「朝という時間の持つ価値」に目を向けることで、例えばスクランブルエッグやパンケーキといった、朝食の王道メニューが一日中人気を集めるだけでなく、朝食メニューを中心に提供する、朝食専門店が出現しました。

ワンランク上の朝食ブーム

朝食は手軽に済ませたいという傾向の一方で、時間をかけて、ゆっくりと朝食を取りたいという需要が増えています。価格は高くても、食事だけでなく、空間にもこだわった場所で、特別な時間を過ごしたいという欲求がうかがえます。

右肩上がりの朝食市場、需要を取り込もう

外食業界が伸び悩むなか、朝食市場は右肩上がりに拡大を続け、新たなトレンドがいくつも生まれ、ますます活気づいています。朝食市場のトレンドをつかみ、需要を取り込みましょう。

 

参考: