ドギーバックがもたらすメリット・デメリット

ドギーバックがもたらすメリット・デメリット

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ドギーバックはもともとアメリカで始まったものです。世界にはドギーバックが一般的に認知され、問題なく広がっている国と、食べ残しを持ち帰ることに恥や抵抗を感じる人が多く、ドギーバックが普及していない国があります。日本は後者であるといえますが、実際に普及させるべきなのか、日本でのドギーバックの動向についてご紹介します。

ドギーバックとは?

アメリカの外食産業から始まったもので、顧客が自分の食べ残しを持ち帰るための袋や容器のことを指しています。もともとの語源は、飲食店で残ったものを持ち帰ることを隠すために、「犬のために持ち帰りたい」と言ったことからきているといわれています。

日本における認知度拡大の取組み

食べ残しを持ち帰る行為に抵抗を感じる人が多い日本においても、現在はドギーバックにも様々な工夫が凝らされ、認知度拡大のために運動が行われています。

ドギーバックを利用しやすく

使い捨ての箱や袋だけですとなかなか抵抗感がぬぐえないかもしれません。最近ではイメージを変えていくために、洗って何度も使用できる可愛らしい容器のドギーバックなども販売されており、多くの人が手に取りやすいよう工夫がされています。

ドギーバックの認知度

ドギーバック普及委員会というものをご存知でしょうか。本委員会は2009年より設立されており、日々ドギーバックの普及に取り組んでいます。委員会が実施したアンケート調査によると、2008年は認知度1%であったのに対し、2009年は30%と急速に拡大しています。さらに「食べきれなかった料理の持ち帰りに賛成している人」は99%、「そのうち実際に持ち帰りをした人」は57%、と調査の結果も出ています。このように徐々にではありますが、ドギーバックが日本でも市民権を得始めているのです。

ドギーバックを利用するデメリット

情報だけがどれほどドギーバックに賛成していても、飲食店側はドギーバックの持ち帰りについて注意しておかなければならないことが多々あります。

飲食店側のデメリット

まず、食中毒という問題です。しっかりとした衛生管理のもと提供した飲食物であったとしても、ドギーバックに包んで持ち帰った場合、顧客の扱いによっては、提供した食品から食中毒の問題が起こることも考えられます。あくまでも自己責任の範囲で持ち帰ってもらうことはもちろんですが、飲食店側では持ち帰りに対する注意事項をしっかりと明示する必要があります。安易に提供するには大きいリスクといえます。

飲食業組合の意見

毎日新聞が行なった飲食業組合へのアンケート結果によると、ファミリーレストランは30%、ホテル・旅館では50%、結婚式場でも50%近くが、持ち帰りに賛成していないということです。この結果を「賛成する」に変えるためには、まずは食中毒リスクにおける法の整備が不可欠となるでしょう。

ドギーバックを推奨するメリット

農林水産省及び環境省の平成27年度推計によると、年間2842万トンの食品廃棄物、うち、646万トンが食品ロスだとされています。この数値は世界全体の食糧援助量の約2倍に相当するといわれており、日本の食品ロスの多さは世界規模で深刻な課題です。もちろんこの数値には賞味期限切れで処分される食料品も含まれているので、すべてが飲食店から発生する食べ残しではありません。ただ、ドギーバックをきちんとした方法で提供することができるようになれば、それだけで大きく食品ロスの数値が変わるのは間違いありません。

ドギーバックを利用するための取り組み

残飯を減らすことが、世界規模で環境に影響を与えると言われると非常に遠い話のように感じるかもしれません。もっと身近な例で考えると。その日の夕飯や次の日の朝ご飯に活用することが出来ると、1回の外食で食費を減らせるので、一人ひとりの家計にも貢献できます。利用者側にとって大きな節約につながるのです。また店舗側も最後まで残さず食べてもらうことができれば、双方にとって気持ちの良いシステムとなります。ドギーバックを利用しやすくするため、ある地域では、「自己責任表明カード」を作成しているところがあります。衛生面や食中毒などの問題から、なかなかドギーバックを推奨するに至らない飲食店側にとって、このカードはじめの一歩となるでしょう。このように、少しずつドギーバックの認知は広がりつつあります。

ドギーバック

ドギーバックのイメージは日本の中でも徐々に変わりつつあります。「持ち帰ることはみっともない」「誰もやっていないから恥ずかしい」という利用者側の意識と、飲食店側の「食中毒のリスク」が改善されていけば、もっと利用者が増え、環境にもお財布にも優しいシステムが構築されていくのではないでしょうか。利用者と店舗側が協力することで、ドギーバックをもっと利用しやすい環境にしていけます。

参考:

日本旅行|ドギーバック法施行
yahooニュース|日本こそドギーバック発祥国?